ベルリンの青い空 その4 ベルリンの交通と人の動き

ベルリンの青い空 その4
ベルリンの交通と人の動き

ベルリンに行く前から地下鉄とバ
スに恐怖心を持っていました。
以前ドレスデンに行ったときには、
交通手段はもっぱらトラムという路
面電車で、テンポもゆったりしてい
ますし外が見えるので視覚で確認
して、街並みから降りる場所がわ
かりました。
ベルリンでは旧東ベルリン地区に
トラムは残っているものの、ほとん
どは地下鉄とバスに切り替わって
います。
地下鉄は路線が複雑に入り組み、
しかも日本のように次の駅の表示
が出ません。
地下ではスマホも使えず、自分が
どこにいてどこに向かっているの
かが分かりません。
そして路面電車の路線を継承して
いるのか、およそ2分ごとに停車し
ます。
そのテンポに付いていける自信が
ありませんでした。
またバスも同様で行き先しか表示
がないものが多く、ぼそっと停車
する場所のアナウンスがあったら
すぐにボタンを押さないと通り過ぎ
てしまうというのです。
英語でさえ相当怪しいのに、ドイツ
語の慣れない音は車の騒音の中
では本当に分かりません。
そんな事前の知識があったので、
一人でベルリンの街を移動できる
か本当に不安を持っていました。
けれど最初の日の娘のナビがあっ
たり、スマホに事前に情報をアップ
してから地下鉄に乗れば、電波が
届かない状態でも情報を確認でき
るとわかり、次第に度胸がついて、
市内どこにでも行けるようになりま
した。
それにしてもベルリンの人たちの
速度には驚かされます。
地下鉄もバスも自動ではなく、自
分でドアを開けます。
ドアにスイッチがあり、LEDが点灯
したらスイッチに触れるとドアが開
きます。
LEDが点灯する前からスイッチを
何度も押している人も多くいます。
私が一番前で一瞬でもスイッチに
触れるのが遅いとすかさず手が伸
びてきます。
白人のアーリア人という人たちなの
でしょうが、相当に気が早い人た
ちです。
歩く速度もみな早く、女性にも追い
抜かれることがあります。
空港内の猛ダッシュで足が疲れ、
慣れない石畳の道だということも
あるでしょうが、生活感覚が違うと
思いました。
それに対し、移民の人たちは概し
て速度がゆったりしていて先のこ
とより、今ここにいることを重んじて
いるように感じます。
また興味を持つとジロジロと遠慮な
く見てきます。
白人はまず目を合わせません。
けれど見ていないわけではなく、
一瞬の間にこちらの様子を判断し
ているようです。
緊張の糸が常に張り詰めているよ
うです。
明らかに頭の緊張状態なのです
が、それでも重心が上がったりし
ていません。
日本人なら、肩に力が入ったり、
腰が強張ったりしているでしょう。
頭が緊張していても、体勢には影
響ないのが持ち味であり、個性で
ある人たちなのです。
ドイツ発祥のシュタイナー教育に
オイリュトミーという身体での表現
方法がありますが、シュトットガルト
から来たプロの公演をみたことが
あります。
日本人のグループも参加していた
のですが、頭の位置を一定に保つ
動きでもドイツの人はダイナミック
さを失いません。
日本人は重心が上がって力が抜
けてしまっていたのを思い出しま
した。
日本人は重心を下げた動きや、
縮んで集中する動きには分があり
ますが、一点に集注する動きでは
ドイツ人にかないません。
ドイツでも特に活気に充ちた街、
長く苦しい歴史を経たベルリンで
はこの速度と緊張感が求められる
のだろうと感じました。
けれど一方、私には触れられない
のですが、垣間見られる別の世界
があることも感じます。
家族と家にいることを好み、ゆっく
りとした時間を楽しみます。
またキーツと呼ばれる近所付き合
いや友人関係でも、ひとたび懐に
入るととことん信頼され、家族同様
に扱ってくれるといいます。
歳をとってからの豊かさや暖かさ
は、こうした処から育つのでしょう。
緊張とゆるみ、クールとホットが矛
盾なく両立しているのがベルリン
の魅力の源なのでしょう。